倫敦巴里
デジタルは、未来へ文化を残せるか?
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作成日時 : 2007/09/25 23:21
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写真は「正徳版 魚山集」と呼ばれる、真言宗智山派の声明の唱え方が書かれた本である。
正徳元年は、江戸時代、1711年に出版されたもの。それが300年弱の時を隔てて、今、我が手にあることにひとり感動している今日この頃。
当時の本は、木版で1ページづつ版を削って作って刷ったものだ。大変な労力である。
紙は薄く、裏写りがひどいのだが、この紙と印刷が、300年もったということは凄いことだと思う。紙も文字もとてもしっかりとしている。
さて、時はデジタル時代。
音も映像も文書も、何でもデジタルにして一律に保存できるようになった。
しかし、デジタル時代の一番のネックは、パソコンがいつ壊れるかわからない、壊れる危険性が常につきまとっている、ということだろう。
パソコンの心臓部であるHDDがまだまだ頼りない。トラブルは減ってはいるが、絶対安全とは言い切れないものである。
デジタルという革命的技術を手にして、写真も音楽もデジタルになっており、これは劣化しないという最大の長所を持つ。
そして一括して管理することができるようになった。
しかし、このデジタル信号は、概念としては永久保存かも知れないけれど、それを確実に物理的に永久に保存するメディアを我々はまだ手にしていないのだ。
メディアが劣化しては何にもならない。
「デジタルは極めて頼りない」物であり、アナログ同様に劣化する恐れがある物である。
それが現状なのだ。
CD-Rなんて、あんな脆弱なものをいつまで頼りにしなければならないのだろうか? フラッシュメモリーにだって危険性はある。
だから、写真や録音などは、必ず外付けのHDDにバックアップする。……してもなんか安心できない。HDDだって信用できない。
で、CDよりは頼りになりそうなMOにもデータを保存している。
CD-Rよりは絶対MOの方が信頼できると思うのだが、残念ながら主流から外れてしまったようだ。
安ければ良いという問題ではない。高くても確実性の高いものでないと安心できないと思うのだが、結局、安心できない、良くはないメディアが主流になってしまっている。
大正時代のSPレコードの音を、今聞くことができる。
昭和30年代のオープンリールに録られた録音も聴くことができる。
カセットテープの音も聴くことができる。
昭和の始め頃の資料も読める。江戸時代の本を読むこともできる。もっと前のものだって見られる。
思い切り古い物は案外大丈夫で、中途半端な物は20年で危ない。
ビデオカセット、8mmビデオ、レーザーディスク等々……みんな、もう危ない。
デジタルはどうだろうか?
パソコン関係の雑誌などに「古いアナログ物をデジタル化して永久保存に」なんて記事が出たりするけれど、永久保存なんてことは現在のメディアではできないと思って良い。
今、デジタル化しないと消滅の危機にあるから、取り敢えずやっておく延命措置みたいなものだ。
その現在のデジタル化されたものが、どれだけ未来に届くのだろうか?
デジタルの利点は、イコールのコピーが簡単にできることだから、次世代のメディアができたらコピーし続ければいいのかも知れない。
とてつもなく大変だけれど、アナログをデジタルにするよりは簡単だろう。
また、逆に、こうも考える。
個人の所有物など永久保存する必要はないのかも知れない。
私の物は、私が生きている間のものだ。死んだ後に処分に困らないように、デジタル化などして身軽にしておくのも手かも知れない。
人生の先が見えてくるとそう思うようにもなった。
しかし、残さなければならないものも沢山ある。
現在のデジタルメディアがどれだけ耐えられるのだろうか?
写真の江戸時代の書籍も、奇跡的に残ったものかも知れないが、紙に墨で印刷されたものが300年もったということである。1000年だってもつのだ。
写真だって、ハロゲン化銀を金属銀に定着させたモノクロ写真はかなり後世まで残る。
デジタルアーカイブというが、本当に大丈夫なのだろうか?
残す、という点においては、もしかしたらデジタルも、消えゆく「中途半端なもの」になってしまうということはないのだろうか?
…いや、ない。…と、願いたい。
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