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zoom RSS アラーキーの写真集『往生写集』購入

<<   作成日時 : 2014/06/26 00:00   >>

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アラーキーこと、荒木経惟氏の写真集『往生写集』
書名は『往生要集』の「もじり」だろうか・・・

表紙は表が奥さんの陽子さんで、裏が愛猫・チロ。共に、亡くなっています。

早くに奥さんを看取ったあと、愛猫も逝き、一人となったアラーキーも、病気となって、往生ということを見つめているのか?

過去の作品と、現在のものが混在している。
これが意味するものは、何か?

私にとっても、懐かしい氏の写真が沢山。
ココにある、過去の写真の意味するものは・・・何なのか?

これは「振り返る過去」でもあるのかも知れない。
また「全てが過去になる」ということのようにも思える。

もともと、退廃的なイメージと、エロスの写真家という感じでしたが・・・氏の写真には「死」の臭いが漂っていました。
それは「退廃的=死のイメージ」というような安易な感じではなかった。
それは、表面的なもの。

朽ち果てて行くもの・・・エロスは、その一時期の花。
性は、死に行く者の生、というような感じがあった。

膨大な日常の、病的なまでの、執拗な記録。

その写真が、カメラが撮ってきたものは、その時々の、正に「今!」だったのだ。
これほど「今!」ということを感じる写真はない。

コンパクトカメラで撮った日付入りの写真が、今を記録することに強く執着しているように思えるが・・・

これは、逆に「全てを過ぎ去った過去」にしてしまっているのかも知れない。

しかも、モノクロの写真が殆どだ。

モノクロの写真は、撮った時から「過去」になってしまうように、昔から思ってきた。

モノクロの写真を並べる時、それが、現在なのか過去なのかが、分からなくなってくる。
このブログでも、時々「街の断片」というのをやっているけれど、これは、古い写真と新しい写真を混在させている。

今となっては、フィルムを中心に使っている、数少ない写真家の一人。
フィルムの雰囲気が、余計に過去、という臭いを紡ぎ出しているのだ。

そう、アラーキーは「過去を撮っていたのだ」と思えるようになってきた。

その点で、デジタル主体の写真界にあって、フィルムを使う、ということが、アラーキーの写真をより際立たせることとなった。

今回の本は、写真展に併せての出版。

中に、恐らく新作と思われる写真がある。

多分、自宅からみた通りを定点観測しているようなもの。
そういえば、最近大病をしていたはず、と思って見たら・・・「2013年末、前立腺癌による網膜中心動脈閉塞症のため右目を失明」とある。

おそらく、このときに、家から撮り続けたのだろうと思う。

この写真集には、これまで、荒木経惟という写真家が、とにかく撮り続けてきた、その膨大な日常の記録のダイジェストのようでもある。

同時にこれは、過去を振り返りつつ、葬っているのでないか?・・・という感じがしてきた。

アラーキーの写真に写っているものは、というか、この写真のすべてが「老・病・死」を撮ったものであるように思える。

変わり、移ろいゆくベランダの写真など、そこに写っているのは、正に「時」であり、これは即ち「老・病・死」・・・なのである。

そういう意味で、アラーキーの写真には「死のイメージ」が漂っている、と言えるのだ。

ベランダは、妻・陽子さんが写っている時から、陽子さんがいなくなり、チロが時々歩いている。

ソコには、時に、花であったり、動物や恐竜などのオモチャが置かれたり・・・そこで撮る物は変わっている。

同じオモチャが、氏の気まぐれによって配置され、時を経て何度も撮られ、それは背景となるベランダの「変化」と共に、時間が過ぎることを示しているようだ。

寿命の長短により、同じ時間的スパンでみれば、変化の度合いが違う。

建物だって、よくよく見れば、寿命がある。
よくよく考えれば、鉄筋コンクリートの建物だって、人間ほどの寿命なもかも知れない。

陽子さんがいなくなり・・・、
チロがいなくなって・・・・

しばらく、撮る物は「空」になったりしたけれど、今、そのカメラは、家の前の「通り」にうごめく「元気な命」に向けられていつようにも見える。

それは、自分の衰えと、もしかしたら、自分の命というものを見つめているのかも知れない。

自分の命の炎の揺らめきの・・・その力なさを感じているのかも知れない。

建物だって「老・病・死」・・・

風景だって「老・病・死」・・・

自分も「老・病・死」・・・・・

そんなものを見つめた写真集、という感じがした。

荒木経惟さん・・・まだまだ、ですよ!










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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
アラーキーって面白い写真家ですね!、、、

独自の解釈で、明確なテーマの基にばんばんフィルムカメラで撮ってますが、そのカメラの素早く的確な扱いと共にに非常に感心します、、、

亡くなった母親を撮影したモノをTVで観たことがあります、、、
上手い具合に撮ってるな!と思いました。
007
2014/06/26 15:05
時に、同じ被写体を複数のカメラで取り分けているという面白さもありますね。
篠山紀信さんは、計算し尽くした写真ですが、アラーキーのは、計算なんかしていないよ、という計算がされてる、ということでしょうか。
三日ボーズ
2014/06/29 19:42

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