マン・セブン・ヒューマンの立像

ウルトラマン、ウルトラセブン、マイティジャック等々をデザインされた成田亨先生が手がけたヒーロー「突撃ヒューマン」。
そのブロンズ像が青森県立美術館での大々的な展示会の際に、そのミュージアムショップで販売されていた、とても手が出る代物ではなかったが・・・
実は、それを、なんと、父が残してくれたお金で買ってしまったワタシだったのだったのだった・・・・
それは確か私が社会人となってからだったと思うが・・・
成田先生の個展が、渋谷の道玄坂のギャラリーで開かれていて、お邪魔した際に買ったソフビのウルトラマンとセブンがあった。
私の記憶では、プラスチックキャストもあったように思うのだけれど、その時は手が出なくて、ソフビの方を買ったように記憶している。
9800円だったと思う。
そのうちのセブンを、当時怪獣などの造形を始めていた友人にお願いして仕上げてもらった。

彼は、それをブロンズ像のようにに仕上げてくれたのだった。
それはしばらく我が家の家具の上に飾ってあったが、あるとき、じゃない、3.11の地震で落ちて、壊れてしまっていた。
それの修理をお願いしてはいたが・・・彼も忙しいようで、なかなか手をつけられなかったよう。
「ヒューマンの立像」を手に入れてみると、これに並べたら良いだろな・・・という当然ともいえる欲が出てきた。
そこで、今回、手つかずのまま持っていた「マンの立像」と併せて、ヒューマンと同じように仕上げて貰うことにした。

このマンとセブンの立像を買ったとき、ギャラリーに成田先生がいらっしゃって、ポスターにサインもいただいた。
先生はその時日本のモンスターである「鬼」を描かれていたときで「そうか、お坊さんなのか」と仰って、鬼の話をされたが、当時のワタシは勉強不足で何も分からず、まともに話せなかったのが悔やまれる。
でも、あのとき、成田先生がいらっしゃって、私もそこにいた、という、それだけで大切な思い出になっている。
それが、仕上がってきた。
実に何とも良い仕上がりになった。
ほぼ見分けが付かない。全部がブロンズ像に見える。
彼が腕を上げた!・・・んだと思う。
実に何とも、素晴らしい仕上がりだと思う。

彼と知り合ったのは、私が最初に勤めた印刷屋。
彼は印刷工場の方にいた。私は版下。
会社の社員旅行の宴会で、彼が「8マン」の歌に当て振りをするという。
そこで、歌を私に歌えと声を掛けてくれたのが、この前亡くなった友人だった。
それが、この彼との出会いだった。
職場は違っていたが、その後の交際がどう始まったのかが記憶にない。
亡くなった友人が、同じ趣味を持つ者として、間に立ってたようだったか?
気がついたら、一緒に「ワンダーフェスティバル」に行っていた。
同じ「オタク」の血が呼んだのだろうか?
その後、彼は、独立した先輩を慕ってデザイン事務所に移り、印刷物のデザインをしていた。
「ガレージキット」の黎明期だったんだと思う。
「原型師」と呼ばれる人が造った元になるモデルを型にとって、プラスチックを流し込んでる作る。
ただ鋳物の用に造っただけで、手足はバラバラのままで、空気が入った泡も、バリもそのままで売っている、というようなもの。
「プラキャスト」と呼んでいた。
それを買った者は、まず元通りに手足頭をくっつけ、泡を埋めて、サンドペーパーなどで磨いて、塗料塗って仕上げる。
元になる原型を買って、それ以外は時自分で仕上げる。
結構技術が要る作業。
原型を造る技術は無くても、それ以外は全部自分の技術による。
上手く造れば原型師と同様のものか、それ以上の物だって造れるやも知れない。
彼は、そういう物を造っていた。
とにかく「ゴジラ」が好きで、今も数多く造っている。
気がつくとゴジラを造ってる。
そんな彼が造形を仕事として「独立」をするといいだした。
そんなことが可能なのか?と思ったが、ついに、趣味を仕事にしてしまったのだ。
公共事業のジオラマとか、博物館の恐竜とか、ワンオフで造る仕事は色々あったようだった。
そんな仕事に追われつつも、時おり、楽しそうに、またゴジラなど造っている。
仕事で(造りたくない?)物を造ったあとは、好きな物を造ることで気分を変えているようだ。
苛やましい限り。

出来上がったマンとセブンをヒューマンと並べて書院の床の間に置いたら、なんかしっくりくる(^^)
違和感無い、という感じ。
やっぱり、彫刻家・成田亨!の作品に、有無を言わせぬ芸術性があるのだろう。
阿弥陀様が側にあると「眷属」という感じもしてくる。
あと一体あれば、これで囲んで「四天王」にでもしたくなるな〜、という感じ。

おそらく、この形でこの立像を持っている人はいないと思う。
おのオリジナルは石膏だったのだろうか?
リジンかな?と友人は言っていた。
美術館の展示で見たのは白い物だった。
ウチのは「ヒューマン」がブロンズ像なので、それに合わせたわけだけれど、友人の確かな腕によって、私の思いも間違ってなかったな、という感じ。
間近に造形の道に進んだ友人がいなかったら、この形にはならなかった。
いや、私の腕では、まともに仕上げることすらできなかったと思う。
全ての出会いに、感謝、であります。

仕上げてくれた「怪獣創庫」のカナモリ氏。
ありがとう!
カナモリ氏の腕と、友情に感謝。

三尊形式

眷属・守護神みたいに・・
もう一体あれば、四角に置いて、四天王


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